現代における日本人の食生活事情
かつて「ぜいたく病」、「帝王病」と言われた痛風は、働き盛りの男性の発症ばかりが目立っています。
およそ100年前、日本は江戸時代から明治時代へ変わろうとしていました。
この頃の日本を驚きをもって見守った記録の中に、「日本には痛風がない」という旨の記録がありました。
しかし、現在の日本において、痛風患者は相当数おり、痛風は今や日本でよくある病の一つとなってしまいました。
この背景には、食生活の変化、特に食生活の欧米化があるといわれています。
これをふまえ、痛風ではしばしば食事療法が話題になりますが、日本人の食卓はどうなっているか現状を知ることで、食事療法のヒントを得たいと思います。
日本人のカロリー傾向
農林水産省データによると、平成22年、国民一人あたりの1日のカロリー摂取量は2457kcalです。
これはデータのある昭和40年のカロリー摂取量とほぼ変わりありません。
約100年の間、日本人のカロリー摂取量はそれほど変わっていないと考えることができます。
ここで、考えてみましょう。
日本人男性で、最も高い数値が出ている30代男性の平均身長は約172cmです。
ここから標準体重を計算してみると65.08kg。
さらに活動レベルが標準の人の適正カロリー摂取量は65.08×30で、1952.4kcalとなります。
すると、平均カロリー摂取量と適正カロリー摂取量に大きな差があることが分かるのではないでしょうか。

仮に、活動レベルが激しい人ばかりと仮定すると、適正摂取カロリーは2277kcalとなります。
これでも平均摂取カロリーと差がありますね。
よって、日本人は全体的にエネルギーの取り過ぎ傾向にあると読むことができるでしょう。
国民一人あたりのカロリー摂取量は女性も含まれていますので、実際の男性の平均カロリー数値はもう少し高いのかもしれません。
痛風患者が増えてしまった理由
昭和40年の痛風患者数は数千人程度。
平成22年の痛風患者数は50万人を超えているといわれています。
カロリー摂取量は変わりないのに、なぜ、こんなに痛風患者が増えてしまったのでしょうか。
それは食料の摂取品目と生活習慣にありました。
昭和40年と比べて、肉類と牛乳・乳製品、油脂類が飛躍的な摂取量の増加がみられます。


お米の摂取量の減少が激しく、野菜やイモ類の摂取量も減少しています。
肉類の摂取量は約100年で3倍に増加し、お米の摂取量は約半分に減ったというデータがあります。
この肉類が多くなった食生活と痛風という病が関連あると思われます。
そして、年々日本人は歩かなくなっているというデータがありますので、過食で運動不足にある日本人の傾向が窺われます。
よって、食事療法の進め方として、肉類中心の食生活を見直すことが第1に上げられそうです。
肉類の取り過ぎに気をつけるとともに、乳製品や油脂類の取り過ぎも気をつけたいですね。
一般的な日本人の食事は、カロリーオーバーにあることも注意しなければなりません。
そして、意識して体を動かす生活習慣の改善も必要そうです。
痛風患者がほとんどいなかった、昔の生活をお手本にしてみることが、食事療法の1つのヒントとなりそうです。